佐藤雄平議員が福島県知事選挙に出馬するため辞任した。

衆議院になく、参議院にあった論点・出来事については青字で記載。

第165回国会 本会議 第7号
平成十八年十月二十三日(月曜日)
   午後一時一分開議
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○議事日程 第七号
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  平成十八年十月二十三日
   午後一時 本会議
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 第一 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国
  において発生したテロリストによる攻撃等に
  対応して行われる国際連合憲章の目的達成の
  ための諸外国の活動に対して我が国が実施す
  る措置及び関連する国際連合決議等に基づく
  人道的措置に関する特別措置法の一部を改正
  する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
 一、議員辞職の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員及び裁判官
  訴追委員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員
  の選挙
 以下 議事日程のとおり
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○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、議員の辞職についてお諮りいたします。
 去る二十日、佐藤雄平君から議員辞職願が提出されました。
 辞表を参事に朗読させます。
   〔参事朗読〕
   辞 職 願
 この度一身上の都合により議員を辞職いたした
 いので御許可下さるようお願い申し上げます
   平成十八年十月二十日
          参議院議員 佐藤 雄平 
  参議院議長 扇  千景殿
○議長(扇千景君) 佐藤雄平君の議員辞職を許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。

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○議長(扇千景君) この際、お諮りいたします。
 大江康弘君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、江田五月君から裁判官訴追委員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。

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○議長(扇千景君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、
 裁判官訴追委員各一名、またあわせて
 検察官適格審査会委員、同予備委員、
 国土審議会委員各一名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に松岡徹君を、
 裁判官訴追委員に工藤堅太郎君を、
 検察官適格審査会委員に内藤正光君を、
 同君の予備委員に平野達男君を、
 国土審議会委員に山根隆治君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、松岡徹君を第三順位といたします。

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○議長(扇千景君) 日程第一 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。国務大臣塩崎内閣官房長官。
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) ただいま議題となりました平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 国際社会によるテロとの闘いにおいては、これまで我が国としても、同法に基づき、海上自衛隊の補給艦等をインド洋に派遣し、海上阻止活動に参加する艦艇に対する給油支援を行うなどの取組を行い、各国から高く評価されているところであります。
 しかしながら、今日の状況を見ますと、テロとの闘いについては、一定の進展は見られるものの、アルカイーダ及びその関連組織やアルカイーダの影響を受けた細胞等の関与が疑われるテロ事件が世界各地で引き続き発生しており、国際テロの根絶は依然として国際社会の大きな課題となっていることから、各国は今後もテロとの闘いを継続する見通しであります。
 このような中、我が国としては、国際協調の下、引き続き、国際社会の責任ある一員としてテロとの闘いに寄与していくことが重要であります。
 この法律案は、このような状況を踏まえ、我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するため、平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づき我が国が人道的精神に基づいて実施する措置を引き続き実施するものとし、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的として提出するものであります。
 以上がこの法律案の提案理由であります。
 この法律案の内容は、現行法の期限を更に一年間延長し、施行の日から六年間とするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。福島啓史郎君。
   〔福島啓史郎君登壇、拍手〕
○福島啓史郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりましたテロ対策特別措置法改正案につきまして、安倍総理大臣に御質問いたします。
 私は、自由民主党の外交部会長でもあるわけでございます。まず、先日の総理の訪中、訪韓並びに安倍外交についてお聞きいたします。
 安倍総理は、就任してすぐ日中・日韓首脳会談に臨まれました。総理が訪中しての首脳会談は実に五年ぶり、また、日韓首脳会談も昨年十一月以来でございます。両国民とも最近の緊張した関係を心配しておりましたが、安倍総理が最初の訪問地に中国、韓国を選ばれたことで、成長、発展するアジアと日本の未来に新しい展望が開かれました。安倍外交の順調な滑り出しを国民は歓迎しており、総理の外交センスに心から敬意を表します。また、このことが昨日の補選二勝につながったところであります。
 今後とも、両国首脳の相互訪問を継続していくことは当然ですが、国民、特に若者の交流が重要です。父君安倍晋太郎外相が創設された五百億円の日米友好基金を上回る規模の日中友好基金を、中国からのODA償還金や民間企業からの協力金などを原資として設立し、中国人留学生に対する奨学金の大幅拡充、研究者の交流や文化交流などを積極的に行い、現在のお互いの国の実像を相互に認識して、未来志向かつ共存同栄の関係をつくっていくべきだと考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
 また、総理は、我が国の国益を守り、国際社会の平和と発展に貢献していく観点から、戦略的外交を進めることの必要性を認識しておられると思いますが、対米、対欧、対ロ、対途上国、また、私も外務大臣政務官時代に取り組みました安保理改革など、安倍外交の見解をお伺いします。
 次に、北朝鮮の核実験に関しお聞きいたします。
 十月九日に行われた北朝鮮の核実験に対して、国連安全保障理事会は、十月十四日、決議一七一八を全会一致で採択しました。決議は、国連憲章第七章の下、第四十一条の措置として、物、金、人の三分野における経済制裁、これと併せて貨物検査を取り上げ、必要に応じ、自国の国内法上の権限及び国内法令に従い、かつ、国際法に適合する範囲内で貨物検査を含む協力行動を取ることを要請しております。
 日本は、六か国協議を通じて朝鮮半島の非核化に取り組んでまいりましたが、北朝鮮の核武装によって最も大きな脅威を受ける国であり、また、安保理決議を取りまとめたリーダー国としてできることを率先して行わなければなりません。
 この観点から、私は、既に実施している制裁措置の追加措置、国内における北朝鮮によるテロ行為の未然防止、保安対策を強化するとともに、現行の周辺事態法、船舶検査活動法に基づき、自ら船舶検査及び米軍への後方地域支援を積極的に行う必要があると考えます。強制力がない、給油などの後方地域支援は米軍だけに限られるといった問題の指摘はありますが、新法を制定するには時間が掛かるし、北朝鮮へ出入国する船舶の情報収集・提供、米軍の艦船への公海での洋上補給、他国艦船の日本の海上自衛隊基地の利用など、米国始め関係国と協調することにより現行法で相当実効的な船舶検査を行うことができます。できることを国際協調の下に速やかに行うことが我が国の国益にかなう方策であります。
 一九九四年、北朝鮮に核兵器開発疑惑が高まった際、米国はカーター元大統領を特使として派遣し、金日成主席との会談などを行い、結果として北朝鮮は黒鉛減速炉を凍結、解体する見返りに軽水炉建設や重油を手に入れました。こうした北朝鮮の瀬戸際外交を通じた核開発のための時間稼ぎと資金稼ぎをもう許してはなりません。
 検証可能かつ不可逆的な方法による北朝鮮のすべての核兵器及び既存の核計画の放棄が、我が国及び国際社会の目指すゴールであります。周辺事態法、船舶検査活動法による対応などに対する総理の御見解と、北朝鮮にどう核廃絶を迫っていくか、お伺いいたします。
 次に、北朝鮮による拉致問題に関してお伺いいたします。
 総理は、当選当初からこの問題に積極的に取り組まれ、被害者の御家族からの信頼も最も厚いと認識しております。組閣に当たり、拉致問題担当大臣、拉致問題担当補佐官を任命し、また、すべての国務大臣が参加する拉致問題対策本部を設置されました。問題解決に取り組む総理の姿勢を高く評価いたします。
 拉致問題に対する国際社会の理解を求めるとともに、特に北朝鮮への影響力の大きい中国の協力を得て、この問題を解決すべく不退転の決意で臨んでいただきたいと思います。拉致問題の解決なくして国交正常化はないことを確認するとともに、高齢化の進む被害者の御家族の悲願を是非安倍内閣で達成していただきたいと思うわけですが、総理の御決意をお聞かせください。
 次に、テロ対策特別措置法に関してお伺いいたします。
 私は、昨年五月、外務政務官として、インド洋上の補給活動に従事する海上自衛隊の実情をこの目で見てまいりました。五十度を超える炎天下、自衛隊の方々は士気高く活動しており、私は改めて評価するとともに日本を誇りに思ったわけでございます。
 洋上での補給は、他国の船の真横三十メートルから五十メートルの距離を同じ速力で航行し、ホースを渡し、最長六時間にわたり等距離、同速力を維持しつつ、並走しながら燃料を補給する高い技術が求められております。どこの国でもできるわけではありません。また、日本の給油を前提にパキスタンが海上作戦に参加しており、アフガニスタンと国境を接するイスラム教国がテロ撲滅に足並みをそろえることは大きな意義があると考えます。
 後方支援はテロ活動を阻止する上で非常に重要です。海上阻止活動がテロ活動家の移動の抑止、武器や麻薬押収にどのような効果を上げているのか、日本は各国からどのような評価を受けているのか、お聞かせください。
 テロ対策特別法に基づき積極的な活動を続けながらも、出口についても考えておかねばなりません。本改正案は、昨年に続き一年の延長を求めており、その後は事態の推移を見つつ適切に判断するとのことですが、どのような条件がそろえば撤収することになるとお考えか、お伺いいたします。
 また、テロの未然防止、根絶には、テロを生み出す貧困の削減や、宗教と切り離した公教育の充実、環境保全、定住促進など、根本問題への取組が必要です。我が国が成し遂げた二度の復興、つまり、明治維新、戦後復興の経験を教え、実行を支援することが我が国の国際貢献の柱であります。あわせて、テロ資金対策、大量破壊兵器、ミサイル及び関連物資の拡散を阻止するための取組、PSIなどの強化をすべきです。今後、日本が取り組むテロ対策をお聞かせください。
 次に、集団的自衛権についてお伺いいたします。
 総理は、どのような場合が憲法で禁じる集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し研究する方針を表明されており、官房長官は解釈の変更に意欲的な姿勢を示しておられます。
 私は、集団的自衛権を有しているが憲法上行使できないとの長年の政府解釈を変更するのは困難であり、憲法改正により集団的自衛権の行使ができるようにすることが適切であると考えております。集団的自衛権と憲法の関係につきまして、総理の見解をお伺いします。
 また、憲法第九条では、国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇又は武力の行使を禁じておりますが、テロ対策やPKOなど国際的枠組みの下で行われる国際協調活動に我が国を含め複数国が従事しているときに、攻撃された協調活動従事国を傍観せず、その友国を守るため攻撃者に反撃することは集団的自衛権の議論とは関係ないと思いますが、併せて御見解をお聞かせください。
 最後に、国際平和協力に関する一般法についてお伺いいたします。
 現在、日本は、国際平和協力法、イラク人道復興支援特別措置法、テロ対策特別措置法と三本の法律に基づき、自衛隊を国際平和協力のため海外に派遣しております。国際平和協力法等は国連決議等が前提となっておりますが、国連は各国の利害が対立する場であり、決議がまとまらない際にも、国際的枠組みができ上がれば主体的に派遣を検討すべき場面があります。
○議長(扇千景君) 時間が超過しております。簡単に願います。
○福島啓史郎君(続) はい。
 こうしたとき、現行の法体系では、派遣の必要が生じるたびに立法し、対応せねばなりません。時間が掛かってまいります。自衛隊の海外派遣に関する法律を一本化して一般法を制定し、国際平和協力に対する日本としての態度を明らかにし、迅速に対応するお考えをお持ちでないでしょうか。総理の御見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福島啓史郎議員にお答えをいたします。
 日中間の交流促進のための基金設立についてお尋ねがありました。
 大事な隣国である中国との間で、将来を担う青少年を始め、国民レベルでの交流を促進していくことは、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を築いていく上で極めて重要であります。
 具体的には、本年度より日中二十一世紀交流事業を両国間で立ち上げ、高校生を対象とした短期及び中長期の招聘を実施しているところであります。また、先般の首脳会談では、日中国交正常化三十五周年である二〇〇七年に開催される日中文化・スポーツ交流年を通じ、国民レベルでの交流を飛躍的に展開し、両国民の間の友好的な感情を増進することで一致いたしました。
 引き続き、中国とともに、文化を始めとする幅広い分野における交流の促進を通じ、相互理解と信頼の増進に努めていく考えであります。
 安倍政権の外交方針についてのお尋ねがありました。
 戦略的視点に立ちながら我が国の国益をしっかりと確保し、同時に、地域や世界のために我が国は何をなすべきか、世界は何を目指すべきかを積極的に主張してリーダーシップを発揮をする、主張する外交を進めてまいります。
 日米同盟は我が国外交の基盤であり、世界とアジアのための日米同盟であるとの考えの下、米国と緊密に連携していく考えです。また、アジアの強固な連帯のために貢献し、価値観を共有する欧州とも協力しつつ、途上国の問題を含め、国際社会の課題を解決するために積極的に国際貢献を行います。隣国であるロシアとの関係も大事であり、その発展のためにも領土問題の解決に粘り強く取り組んでまいります。
 また、我が国が国際社会における責任を果たしていくためにも、安保理において恒常的に発言力を確保すべく、我が国の常任理事国入りを目指し、国連改革に引き続き取り組んでまいります。
 北朝鮮の核実験に関し、周辺事態安全確保法及び船舶検査活動法による対応についてのお尋ねがありました。
 政府としては、今回の北朝鮮の行為に対しては、国連安保理決議を受け、米国等の関係国と緊密に連携を図り、一方、事態は流動的で、瞬時瞬時に推移していることから、常にあらゆる状況を想定し、いかなる対応が可能かをあらゆる観点から検討してまいります。
 北朝鮮の核問題を解決する方法についてお尋ねがありました。
 核問題の平和的、外交的解決に当たっては、現時点では六者会合が最も現実的な枠組みであると考えています。先般、全会一致で採択された国連安保理決議第一七一八号は、北朝鮮に対し、すべての核兵器及び既存の核計画の放棄を義務付けるとともに、同会合への即時無条件復帰を要請しています。引き続き、関係国と連携をしつつ、北朝鮮に対し決議一七一八号の誠実な実施を強く求めるとともに、同決議を着実に実施することを通じて六者会合の早期再開を実現し、もって北朝鮮の非核化を実現すべく最大限努力をしてまいります。
 拉致問題の解決についてお尋ねがございました。
 拉致問題の解決は、私の内閣が取り組むべき最重要政策であります。拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ません。また、被害者の御家族は御高齢になられており、一刻の猶予もないと認識をいたしております。政府としては、対話と圧力の方針の下、引き続き、拉致被害者が全員生存をしているとの前提に立って、すべての拉致被害者の生還を強く求めてまいります。
 海上阻止活動の効果についてのお尋ねがありました。
 これまでの五年に及ぶ活動の結果、乗船検査等を通じて多数の武器弾薬、麻薬等が押収され、アルカイダ等の活動が阻止されています。また、インド洋におけるアルカイダ等の移動や活動の大幅な減少に貢献するなど、海上阻止活動は十分な抑止効果を発揮をしていると認識をいたしております。
 テロ対策特措法に基づく対応措置の終了の条件についてお尋ねがありました。
 テロ対策特措法に基づく対応措置の終了の時期や条件について現時点において一概に申し上げることは困難でありますが、政府としては、国際社会によるテロとの闘いへの取組の推移や、我が国にふさわしい役割を果たしていく上で自衛隊の活動を継続することの必要性などを十分に勘案し、適切に判断してまいることといたしております。
 今後我が国が取り組むテロ対策についてのお尋ねがありました。
 テロ問題の解決のためには、軍事的な努力に加え、国際協力の推進とテロを生む社会的、経済的背景に存在する諸問題の解決が重要です。我が国は、テロ対策特措法に基づく協力に加え、国際的な政治意思の強化、法的枠組み整備、テロ資金対策並びにPSIを含む大量破壊兵器等の不拡散のための協力を推進し、ODAを活用してテロ対策能力向上や貧困削減等の幅広い支援を行い、国際社会と協調しつつ、総合的に対応してまいります。
 集団的自衛権と憲法についてのお尋ねがありました。
 政府としては、これまでの憲法解釈や御指摘のような国会における議論の積み重ねを十分に尊重しつつ、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘いといった国際情勢の変化や武器技術の進歩、我が国の国際貢献に対する期待の高まりなどを踏まえ、日米同盟がより効果的に機能し、平和が維持されるようにするため、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し、よく研究してまいります。
 憲法改正については、与野党において議論が深められ、方向性がしっかりと出てくることを願っております。
 国際的な活動と集団的自衛権についてのお尋ねがありました。
 自衛隊が行うPKOなどの国際平和協力活動はそれぞれの活動根拠となる法律に従って行われるものであり、憲法で禁止されている集団的自衛権の行使の問題は生じ得ません。具体的にいかなる状況の下でいかなる対応が可能となるかについては、特定の状況下においてそれぞれの活動の根拠となる法律に従って判断することとなります。
 国際平和協力のためのいわゆる一般法の制定についてのお尋ねがありました。
 近年の国際情勢の変化を受けた国際社会の多様な取組に機動的に対応し、我が国として的確な国際平和協力を推進する必要があります。政府としては、世界において責任ある役割を果たす国になるという観点から、国民的議論を十分に踏まえた上で検討していくべき課題であると認識しております。
 国際平和協力のためのいわゆる一般法の具体的な内容についてのお尋ねがございました。
 我が国が国際平和協力として行うことが適当な業務の範囲や、これに必要な各種権限の在り方等について、現時点で政府の考え方を具体的にお示しできる段階にありませんが、政府としては、世界において責任ある役割を果たす国になるという観点から、国民的議論を十分に踏まえた上で幅広く検討を進めてまいります。(拍手)
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○議長(扇千景君) 犬塚直史君。
   〔犬塚直史君登壇、拍手〕
○犬塚直史君 民主党・新緑風会の犬塚直史です。
 会派を代表して、議題となりましたテロ特措法の延長に反対の立場から質問を行います。
 本題に入る前に、まず憲法改正に対する総理のお考えを伺います。
 私は、安倍総理と同じ昭和二十九年生まれで、小学校時代の給食では脱脂粉乳を飲んで育ちました。国際機関の援助を受けていた日本が経済成長を遂げた戦後の時代であります。
 その戦後生まれの総理が、憲法改正の理由として当時の日本が占領下にあったことを幾度となく指摘されています。しかし、占領下の国会でどんな審議が行われていたのか。日本国憲法の制定国会においてこれを審議した衆議院憲法改正特別委員会の芦田均委員長の報告演説がここにありますので、読ませていただきます。
 諸君、この議事堂の窓から眺めてみまして、我々の目に映るものは何であるか。満目蕭条たる焼け野原であります。そこに横たわった数十万の死体、灰じんのバラックに朝夕乾く暇なき孤児と寡婦の涙、その中から新しき日本の憲法は生まれいずべき必然の運命にあったと内閣はお考えにならないのか。
 これが六十年前の委員長報告の一部であります。
 たとえ敗戦しても、我が国の国会は他国に強制されて憲法を制定したわけではない。たとえ占領下にあっても、国家の基本法たる憲法制定に他国の強制は受けない。そのような日本人の気概と希望を私は感じるのであります。
 この芦田委員長報告に対し、六十年間はたちましたけれども、総理の御答弁をお願いいたします。
 さて、本題のテロ特措法について伺います。
 この法律によって、自衛隊は初めてPKO以外での外国の領域での活動を行いました。停戦合意が前提のPKOや我が国の安全保障に直結する周辺事態法についてさえ国会の事前承認が原則になっております。テロ特措法には地域要件がなく、また支援対象も米軍だけにとどまりません。だからこそ、最も慎重なシビリアンコントロールを確保しなければならない。緊急度が高い防衛出動や周辺事態における活動が原則事前承認なのに、緊急性ではまだ時間的余裕のあるテロ特措法がなぜ事後承認なのか。これを事後承認でよしとするのは国会軽視と言わざるを得ません。総理の御認識を伺います。
 海上自衛隊の補給活動は各国に対して無償で行われておりますが、このところの原油価格高騰から防衛予算を圧迫しております。また、自衛隊には限られた数の補給艦しかありません。日本周辺で北朝鮮の脅威が高まる中、あり余る装備を有しているわけではない自衛隊にとって最も重要な任務である我が国の防衛に支障を来すのではないか。逆に、アフガニスタンのテロ対策は、現地の人たちを主役とした国づくりに尽きるのではないか。
 延長の必要性を国会で事前に検証できないようでは、結局現地のニーズにこたえることもできず、また、日本の専守防衛能力にも不安を与えかねません。延長の必要性について総理、防衛庁長官の御所見を伺います。
 我が国自衛隊が燃料補給支援を行って五年がたちます。アフガニスタンの治安状況は悪化の一途をたどっております。政府は、海上自衛隊の優れた給油能力が各国から極めて高く評価されているとしていますが、評価の基準が違うのではないでしょうか。我が国はガソリンスタンドではありません。
 テロの原因となる貧困や雇用の改善、DDR、地雷対策、警察支援、復興支援など我が国らしい施策にもっと力を入れるべきではないか。テロ特措法のなし崩し的な延長は、つまるところ我が国のテロ対策の戦略欠如なのではないか、防衛庁長官の明快な答弁を求めます。
 政府は、従来から自衛隊の撤収時期を決める明確な条件を示しておりません。テロとの闘いとは、つまるところ安心して暮らせる地域づくりであり、モグラたたきを繰り返すことではありません。
 近年、タリバンが再度力を付け始め、海上阻止活動の必要性が近い将来なくなる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。国際協力と言うだけではなく、撤収時期についての我が国が自らの指針を示すべきではないでしょうか。先の見えない延長に自衛隊は過大な負担を強いられています。出口戦略を持たずに半年、一年の延長を繰り返すのではなく、撤収時期についての総理の明確な御答弁をお願いします。
 さて、我々の世代は戦争経験を持ちませんが、同時に安全保障の環境も大きく変わってまいりました。冷戦後の今日、もはや国家間の戦争はほとんど姿を消し、代わって主権国家内部での武力紛争や大規模な人権侵害が次々に勃発しております。停戦合意に基づいたPKOも少なくなり、より複雑な使命を持つ各国の部隊が多数の紛争当事者と難民との間で活動を強いられています。主権国家の内外で、武装集団が無差別に一般市民を標的とし、大規模で組織的な人道侵害が現在進行形で行われている事態に我が国はどう対応していくのか。
 ある国家が自らの国民を保護する能力も意思も持たない場合、国際社会がこれに代わって被害者を保護する責任を負うという保護する責任の考え方は、アナン事務総長の提案を受けて、世界各地での議論を経て昨年の国連サミットで正式に認知されました。この保護する責任に対する総理、外務大臣、防衛庁長官の御認識を伺います。
 次に、集団的自衛権について伺います。
 総理はさきの所信表明演説等で、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するか、個別具体的な例に即してよく研究すると述べられております。
 個別的にせよ集団的にせよ、自衛権の行使は、我が国が急迫不正の侵害を受け、ほかにこれを防ぐ手段がなく、必要最小限の武力を行使するということなのか、それとも、世界の中の日米同盟として安保理の決議なしに世界の果てまで出掛けていくことなのか、明快な答えの出ない現状において国民の不安は高まる一方です。この研究に懸ける総理の思いを伺います。
 さらに、国連集団安全保障は、そもそも同盟関係に基づく平和が機能しなかった歴史に踏まえて制度ができたわけですから、現在不完全な集団安全保障に対して、我が国からもその未来像を構想すべきと考えますが、併せて総理の御決意を伺います。
 さて、人間の安全保障を国の外交方針としていますのは世界でもカナダと日本だけであります。専守防衛で国を守り、人間の安全保障を指針として国際的な平和協力活動を行っていくわけですが、治安維持、人道支援、開発、社会制度構築支援など、あらゆる形での支援が必要となります。にもかかわらず、我が国ではなぜ保護する責任を人間の安全保障と分けて考えるのか、総理と外務大臣の御所見を伺います。
 次に、我が国の安保理常任理事国入りについて伺います。
 国連が公正かつ強力な世界の警察機能を持つまでに成長することは、日本国憲法にとって本来不可分の前提であります。しかし、現在のところ、国連は拒否権を持つ五大国の力関係で動く現実であり、今の国連に地域代表制や経済力に見合った発言力を認めさせて日本の常任理事国入りを目指すのは楽観的に過ぎるのではないでしょうか。あくまでも常任理事国入りを目指すのか、そうでなければどういう形で国連を活用するのか、どのように国連に貢献をするのか、総理、外務大臣の認識をお聞かせください。
 北朝鮮の核実験はゆゆしき事態であります。しかも、テロの脅威は核やミサイルに限らず、航空機や地下鉄、水道、送電線、原子力発電所など重要インフラへの攻撃、さらにはNBCテロによる攻撃の可能性を想定しなければなりません。
 宣戦布告して始まる戦争ではない、日常生活が突然非常事態になってしまう状況にどう対応するのか、国土交通大臣及び国家公安委員長に国民を守る覚悟とその準備について伺います。
 次に、難民対策について伺います。
 アフガニスタンの人口約三千万人のうち、ピーク時の国外難民が五百から六百万人、国内難民が百十から百五十万人と推定されていました。実に人口の二割であります。近年多くの難民が帰国しましたが、いまだにパキスタンに百八十五万人、イランに八十万人、国内に十八万人が難民生活を強いられています。現在でも人口の一割に相当します。
 同じように、もし北朝鮮において国家が崩壊するような大きな混乱が起これば、数百万人単位の難民が出ることは必至であります。中国、韓国、ロシアの国境を越えて難民が避難した場合の我が国の対応、ボートに乗って我が国に避難してくる難民の受入れなどについて、総理及び外務大臣の御所見を伺います。
 パールハーバーのときには米国在住日系人が強制収容所に送られましたが、その際にいろいろな悲劇があったと聞いております。日常的に仲良く暮らしていても、いったん非常事態となれば世間が異常な心理に覆われ、誹謗中傷が行われます。また、九四年のルワンダにおいては百日間で八十万人の虐殺が行われましたが、その際、扇動的なラジオ放送の影響が指摘されています。
 テロや不測の事態が起こったときに、暴動やリンチを避けるためにどのような施策を講じているんでしょうか。非常事態であればあるほど正しい情報を伝え、冷静な対応を促すことが重要となります。日常からの準備が必要と考えますが、国家公安委員長、防衛庁長官の御所見を伺います。
 最後に、法の支配とICCについて伺います。
 我が国が国連安保理においてダルフールの大量虐殺をICC、国際刑事裁判所に付託することに賛成票を投じ、また米国はその際、拒否権を行使しませんでした。
 私は、この夏、ダルフールの難民キャンプにNGOの一員として行ってまいりましたが、法の支配とはほど遠いところで百八十万人の難民が生活をしております。
 現地で今必要なのは、殺害やレイプからの安全、水、食料、住居、医療、燃料、学校などすべての社会インフラであります。ICCがこの地域に管轄権を持ったことの意味は表面的には見えませんが、組織的に広範囲に行われる重大な人道に対する罪に不処罰はないという強いメッセージを発し、これを許さず、犯罪の連鎖を断ち切り、もって大量虐殺やジェノサイドを法の支配で予防することができるということを確信いたします。
 紛争地域での被害者救済は医師や看護師の崇高な仕事でありますが、そうした活動に協力して紛争の原因を取り除くのは正に政治の仕事であります。来年の通常国会での審議が予定されております我が国のICC、国際刑事裁判所条約締結に向けた総理と外務大臣の取組と決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 犬塚直史議員にお答えいたします。
 日本国憲法制定の際の芦田委員長の御発言についてのお尋ねがありました。
 現行憲法が持っている主権在民、自由と民主主義、そして基本的な人権、平和主義といった原則は普遍的な価値であり、当時の日本国民が希求していたものであるというのも事実であると思います。他方で、占領軍の影響下において憲法が制定されたことも事実であり、いかに中身がすばらしいものであっても、憲法が基本法である以上、その制定過程にはこだわらざるを得ないと考えています。こうした観点から、私は、やはり私たち自身の手で新しい憲法を作っていくことが必要であると考えております。
 テロ対策特措法に基づく対応措置の実施について、国会の事前承認とすべきとのお尋ねがありました。
 法案作成時において、国会で十分に御審議をいただいた上で本法律が成立する運びとなれば、自衛隊派遣について基本的に国会の同意が得られたとみなし得ると考えたことから、国会との関係については事後承認といたしました。
 テロ対策特別措置法の延長についてのお尋ねがありました。
 国際社会によるテロとの闘いは依然続いており、我が国は国際協調の下、テロとの闘いを我が国自身の問題と認識し、引き続き重要な役割を果たさなければならないと考えており、このためテロ特措法の延長が必要であると考えております。
 なお、我が国の防衛に遺漏なきを期することは国政を預かる者の当然の責務であり、その万全を図ってまいります。
 テロ対策特措法に基づく対応措置の終了の条件についてお尋ねがありました。
 米国、英国等の海上阻止活動は、テロリストの活動に対して大きな抑止効果を発揮しており、海上自衛隊による給油は当該活動に不可欠な支援となっております。
 対応措置の終了条件について一概に申し上げることは困難ですが、テロとの闘いへの国際社会の取組の推移や、我が国にふさわしい役割を果たしていく上で自衛隊の活動を継続する必要性等を十分に勘案し、適切に判断してまいります。
 激動する国際社会の状況に対する我が国の取組についてお尋ねがありました。
 複雑で多様化する地域紛争が頻発するなど、近年の国際情勢は大きく変化しています。その中で、平和を構築し個々の尊厳を守ることは、国際社会の安定と発展にとり極めて重要な課題であります。我が国としては、このような国際社会の状況も念頭に置きつつ、国際平和協力法等に基づく様々な取組やODAによる支援を今後とも適切に行っていく考えであります。
 保護する責任についてお尋ねがありました。
 昨年の国連首脳会合成果文書では、各国が、大量殺りく、戦争犯罪、民族浄化及び人道に対する犯罪から自国民を保護する責任を負うとされています。また、国際社会は、これらの犯罪人から人々を保護するため、適切な平和的手段を用いる責任を負うとともに、仮に平和的手段が不十分であり、国家当局が自国民の保護に明らかに失敗している場合、状況に応じ、安保理を通じて行動する用意があるとされています。
 このような国連における議論を踏まえ、我が国としても、国連憲章及び憲法を含む我が国法制度の下で、具体的な事例を勘案しつつ適切に対応していくことが重要と考えます。
 集団的自衛権についてお尋ねがありました。
 私は、内閣総理大臣として、国民の生命、財産の保護にあずかる立場から、集団的自衛権の問題を真剣に研究することは当然の事柄であると認識しております。
 政府としては、これまでの憲法解釈や国会における議論の積み重ねを十分に尊重しつつ、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘いといった国際情勢の変化や武器技術の進歩、我が国の国際貢献に対する期待の高まりなどを踏まえ、日米同盟がより効果的に機能し、平和が維持されるようにするため、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な事例に即し、よく研究をしてまいります。
 国連における集団的安全保障の在り方についてお尋ねがありました。
 国連創設時に目指していた集団安全保障体制が前提としていたいわゆる正規の国連軍は、現在存在していません。したがって、今日の国際社会の状況にかんがみれば、各国が日米同盟のような同盟関係の構築を含め、最も適切な方法で国家、国民の安全を確保するのは当然であります。
 また、国際社会の平和と安定の実現及び維持のためには、安全保障面における国連の諸活動も重要な役割を果たしていると認識をしており、我が国としてもこうした活動にも引き続き積極的に寄与してまいります。
 国際的な平和協力活動における保護する責任と人間の安全保障についてのお尋ねがありました。
 昨年の国連首脳会合成果文書では、我が国が推進する人間の安全保障が言及され、国連総会で討議して定義を行うこととなりました。今後、御指摘の点も含め、加盟国間で議論がなされるものと思われますが、我が国としては、人間の安全保障が国連における重要な指針となるよう努力していく考えであります。
 次に、日本の国連安保理常任理事国入りについてのお尋ねがありました。
 戦後つくられた国連を二十一世紀にふさわしい国連に変えていくためにも、日本が安全保障理事会の常任理事国となって、しっかりとその責任を果たしていかなければならないと考えています。我が国の常任理事国入りを目指し、国連改革に引き続き取り組んでまいります。
 また、我が国は、世界の平和と繁栄のために国連が果たす役割を重視しています。改革の実現に向けた努力を進めると同時に、安全保障、開発、人権等様々な面において、国連を通じた国際社会の努力に引き続き積極的に貢献し、協力していく考えであります。
 北朝鮮からの難民の受入れについてお尋ねがありました。
 我が国に避難民が到着する事態となった場合は政府全体として対処する必要があるものと考えており、我が国の安全に及ぼす影響はもちろんのこと、その受入れ体制、人道的観点も考慮しつつ、適切に対処してまいる所存であります。
 国際刑事裁判所、ICC規程の締結についてお尋ねがありました。
 我が国は、国際社会における深刻な犯罪の発生を防止し、もって国際社会の平和と安全を維持する観点から、ICCの設立を一貫して支持してまいりました。現在、関係省庁で必要な国内法整備に取り組んでいます。
 政府としては、国会の御承認を得て二〇〇七年中にICC規程を締結できるようにすることを目指し、必要な作業を着実に進めていきたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
○国務大臣(久間章生君) 犬塚議員にお答えをいたします。
 まず、テロ特措法の延長についてお尋ねがありました。
 国際社会がテロとの闘いを継続している中、国際社会の責任ある一員として我が国がテロとの闘いに引き続き積極的かつ主体的に寄与するため、テロ特措法の延長が必要であると考えております。
 なお、我が国の防衛に遺漏なきを期することは当然であります。
 次に、我が国の支援の在り方についてお尋ねがありました。
 我が国は、テロとの闘いに寄与するため給油等の支援を実施しており、カルザイ大統領からも評価されております。さらに、アフガニスタンに対し、和平プロセス、治安改善、人道復興支援を三本柱とし、総額約十一億ドルの支援を行ってきております。
 今後も、これらの施策を継続し、我が国にふさわしい役割を担っていくことが重要であると考えております。
 次に、保護する責任についてお尋ねがありました。
 保護する責任に関しては、総理がお答えしたとおりでありますが、国際的な安全保障環境を改善するために国際社会が協力して行う活動については、国連憲章及び憲法を含む我が国法制度の下で、防衛庁としても適切に取り組む所存であります。
 最後に、テロ等に際して、国民への正確な情報伝達についてお尋ねがありました。
 テロ等の緊急事態が発生した場合には、国や地方公共団体は発生事態や実施措置の状況等につき、正確な情報を国民に提供することとされております。防衛庁としても、かかる事態に際して、関係機関と連携しつつ、自衛隊のとった実施措置を含め、所要の情報を適時適切に提供をすることといたしております。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(麻生太郎君) 犬塚先生より五問ちょうだいをしております。
 まず、保護する責任についてお尋ねがあっておりました。
 総理がお答えされましたとおり、保護する責任を果たすことが求められる場合には、我が国といたしましても、国連におきます議論が今行われておりますんで、国連憲章及び国連を含む我が国法制度の下で具体的事例というものを勘案しつつ適切に対応していくことは重要と考えております。
 次に、国際的な平和協力活動における保護する責任と人間の安全保障についてのお尋ねがありました。
 これも総理がお答えされましたとおり、今後、御指摘のありました点も含めまして、加盟国間でこれは議論が今スタートしたばっかりでありますんで、これから議論がされるものと思っております。日本としては、我が国が提唱いたします人間の安全保障という考え方が国連におきます重要な指針となるよう、今後努力をしてまいろうと思っております。
 次に、日本の国連安全保障常任理事国入りについてのお尋ねがあっておりました。
 御存じのように、第二次大戦直後につくられました国連を二十一世紀にふさわしい国連に変えていくためにも、日本が安全保障理事会の常任理事国となってしっかりとその責任を果たしていかなければならないと考えております。したがいまして、日本が常任理事国入りを目指し、国連改革に引き続き取り組んでまいるということは当然のことだと存じます。
 また、日本は、世界の平和と繁栄のために国連が果たす役割そのものを重視いたしております。改革の実現に向けた努力を進めると同時に、安全保障、開発、人権など様々な面におきまして、国連を通じた国際社会での努力に引き続き積極的に貢献し、協力をしてまいりたいと考えております。
 次に、北朝鮮の体制崩壊に伴う難民の流入についてのお尋ねがあっております。
 政府としては、これはあらゆる事態が想定されますが、準備をしていくことは重要であります。難民が流入することという事態になれば、これは、日本の受入れ体制や人道的観点というものを考慮しつつ、これは適切に対応していかなきゃならぬところであろうと思います。
 なお、現時点において、北朝鮮の現体制が直ちに崩壊するような兆候があるわけではありません。
 いずれにせよ、日本といたしましては、引き続き北朝鮮に対して対話と圧力と、この一貫した考えの下、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を外交的手段により解決するために全力を傾ける所存であります。
 最後に、国際刑事裁判所、通称ICCと言われる規程の締結についてお尋ねがありました。
 これも総理からお答えがありましたとおり、日本はICCの設立を一貫してこれまでも支持してまいりました。外務省といたしましては、ICC規程を可能な限り早く締結したいと考えております。平成十九年度の概算要求に、加盟国としての支払義務というものの、ICCの分担金約十九億八千万か、というものを計上いたしております。
 外務省といたしましては、関係省庁と緊密に協議をしつつ、国会の御承認を得まして、二〇〇七年にICC規程を締結できるようにすることを目指して、同規程の実施のための国内法の準備を始めとする必要な作業を着実に進めていきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣冬柴鐵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(冬柴鐵三君) ただいまテロによる攻撃など非常事態への対応についてお尋ねがありました。
 公共交通機関や重要施設のテロ対策は、国民生活の安全、安心を確保する観点から、国土交通省の最重要課題の一つとして取り組んでおります。
 具体的には、関係機関との連携の下、航空における保安検査の厳格な実施、鉄道における監視カメラの増設、海上保安庁による原子力発電所等の警備などの措置を行い、定期的に点検を実施しております。特に、今回の北朝鮮核実験事案を受けて、不測の事態に備え、所管の事業者や施設管理者に対しテロ対策の再徹底を指示しているところであります。
 今後も、警察など関係省庁と連携しつつ、情勢に応じてテロ対策の強化等を図ってまいります。(拍手)

   〔国務大臣溝手顕正君登壇、拍手〕
○国務大臣(溝手顕正君) 犬塚先生の御質問にお答えいたします。
 まず初めに、国内のテロ対策についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、テロの脅威につきましては、公共交通機関や原子力関連施設等に対する攻撃のほか、NBCテロについても想定する必要がございます。
 警察といたしましては、事前にいかにその兆候をつかむかが重要であり、そのためには徹底した情報収集が必要であると認識いたしております。その上で、警察ではNBCテロに備えたNBCテロ対策部隊や原子力関連施設を警戒する銃器対策部隊等を設置しており、関係行政機関や事業者等と合同訓練を行うなどして各種テロに備えているところであります。
 引き続き、関係機関との連携を強化しながら、各種テロ対策を強化してまいる所存であります。
 次に、テロ等が起こった場合の混乱を避けるための施策についてであります。
 警察といたしましては、各種事態の正しい情報を地域住民に積極的に広報することにより、混乱の発生を未然に防止するように努めるとともに、混乱が発生した場合には、直ちに正確な状況を把握し、不測の事態に対処するため、機動隊等の部隊を早期に投入して混乱の拡大防止に努めることとしております。
 以上でございます。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四分散会

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