自然主義経済

 平和党は自然主義経済を提唱しつづけて、笑われること数万回である。
それでも皆ががんばっているのは、これに類似したことを説く政党は存在せず、
今の常識の土台でやっていくのは、もはや限界であるからとの認識である。
 国際紛争しかり、年金の問題しかり、財政破綻しかり、環境問題しかり、
少年犯罪しかり、ありとあらゆる問題は個別の政策で解決されるのではなく、
ただ一点のことから起きている。

 ドイツの社会学者・マルグリット=ケネディ博士の論をここに示したい。
上の図のグラフ、Aに示されているのは、自然界にある普通の成長である。
赤ん坊の一年の成長というのは早い。だが24歳が25歳になっても大して
変わらなくなる。肉体的な量の成長が頂点に達すると、やがては質的成長をし
ていくものである。動物においてもそうであるし、植物においてもそうである。
 だが、Cで示される曲線を描くものもある。資本主義経済並びに社会主義経済は、
これを求めている。2乗、3乗に増える指数関数だ。自民党と民主党、
あるいは市場経済原理主義の考え方である。
 政府が市場に介入して財政(公共事業など)・金融(公定歩合の操作)で
コントロールする場合にもこれが前提となっている。国民新党・新党日本
あるいは、利権政治の元祖・自民党がそうだ。
 そして、このCの曲線は、がん細胞の増殖と全く同じ成長グラフを描く。
がん細胞はやがては、肉体を食い尽くした時点で、そのがん細胞そのものも
死滅することとなる。自然界では、このような増殖は自滅を意味するのだ。
自然主義経済の言う「マイナス利子」は絶対的に必要であるというのは、
現在のプラス利子制度が、預金・貯金のない人間、低所得の人間、
あるいは無借金の人間でも無縁ではないからである。
電車に乗る場合、電車賃を払う。鉄道会社は、銀行に融資してもらっている
お金を返済するため利子を払う。当然、それは乗車料金の売上から出される
わけで間接的に、乗客が支払う事になる。
ゴミの清掃作業では、市役所が払うが、市役所は税金で徴収する。納税者は
利子を払っている事になる。

上のグラフの1.は、市役所の経費の12パーセントが金利である事を示している。
2.は、上水道料金の38パーセントが金利であり、
3.は、下水道料金の47パーセントが金利であり、
4.は、住宅において77パーセントの金利を支払っていることを示している。
つまり政府や自治体は利子の支払い為に日々支出しているのである。
税金の無駄遣いとよく言う人がいるが、この利子支払いの額は
それをはるかに超越している。
民間では、企業は、事業のために金融機関からお金を借り入れる。
それは利子をつけて返済する。
したがって、その企業が販売する売上に利子が乗せられている。
無借金の企業があったとしても、仕入れがあるわけで、必ず利子を支払う
ことになっている。

1980年代の西ドイツで、各家庭ごとに試算したものが、上のグラフ。
左にいけばいくほど低所得者。右にいけばいくほど高所得者である。
黒は金利収入、グレーは金利負担を示している。
富裕層になればなるほど、金利収入は増え、貧困層になればなるほど、
金利負担がかかる。
この高所得者分の利益をいったん政府に徴収して、低所得者にまわせというのが、
共産党・社民党の考え方である。
また、環境を汚す度合いの高い大企業ほど、税金を納めて環境政策にまわせという。
これはみどりの会議などの発想であった。あるいは環境税を創設しろという。
ゴミを出すのに徴税ないし料金をとろうともいう。
どの政党も資本主義経済を前提として考えているため、なにかといえば、財源を
どこに使うかに焦点があてられている。
環境というものはお金によって作られているのではなく、自然によって存在している
ことをみな忘れてしまっている。
ちなみにここまでで公明党の話が出てこないのは、彼らの経済政策は政治的利益
によって変わるからである。政治的に泳ぎ回るために存在する政党は批判する
必要はない。
 市場経済だけでいくと、公共のものにお金が配分されないということで、政府が税金
を集めて景気回復もかねながらやっている公共事業だが、これも既成政党が見る目とは
全く違う方法でみるべきである。
 プラス利子の仕組みが、公共事業にも大きな影響を与えているということが大きな点。
高速道路を民営化するという自民党、高速道路を無料にするという民主党だが、
それが現存の常識の土台での戦いである事に、気づいていただきたい。
まず、平成15年度、北海道の札幌・道東道は、通行料収入から管理費を除いた額は、
57億円の収入がある。だが、金利は97億円支払っており、40億円の赤字となる。
以下、みてみると、
山形道 39億円の管理費引き収入に対して、132億円の金利負担で、121億円の赤字。
山陽道 1065億円の管理費引き収入に対して、468億円の金利負担で、53億円の黒字。
松山・徳島道 177億円の管理費引き収入に対して、94億円の金利負担で、139億円の赤字。
長崎・大分道 346億円の管理費引き収入に対して、105億円の金利負担で、78億円の黒字。
本四連絡橋 622億円の管理費引き収入に対して、1087億円の金利負担で、465億円の赤字。
(本四連絡橋のみ平成14年度)
 これらは金利がなければ、全て黒字である。
高速道路にしてもなんにしてもそうだが、「税金の無駄遣いを許すな」という国民の怒りは
ごもっともだが、その根底には、こうした事が存在している。
無駄遣いで支払われたお金というのは、出回って社会全体に回るのである。
 これで田中角栄以降の政治経済は成り立ってきた。
 だが、利子という制度があるために、資本を集中させる大企業や政府など力のあるものの
ところに滞留しているのである。
 民主党の議員などは、正義の味方顔で、税金の無駄遣いを追及しているが、そんなところ
に根本的問題は存在しない。
 ヒーローを見る眼としてはわかりやすいかもしれないが、きわめて非生産的だ。
 また、今の自治体改革ブームで、儲ける役所というのがある。なんでも民間にする。たしかに
政府・自治体では経営者感覚がないために、ダメだというのは事実。
 だが、これも本質的課題ではない。ようは役所がやることを民間がやったところで、
この経済のルールには大きな壁がある。役所で扱うお金を民間に持ってきても、ただ移動
しただけである。
 クラウディングアウトという経済学の言葉があるが、小さなコップの中の話であって、
いずれまた苦しむことが生まれるのである。
 現代の政策課題の中では、長期的に本当は必要なのに、今どうするかという流れになら
ざるを得ないことがたくさんある。
 自然主義経済をやるのが一番いいのだと言うと、自然主義経済を認めた人でも、しかし、
今どうするのか、と、こうなる。
 長期的ビジョンとしてやっと認めてくれる人は増えてきたが、何千年後の話をするの
なら宗教の話になる。
 自然主義経済には、食糧とエネルギーの完全自給が欠かせないが、今現在、それができて
いるわけではない。
 あるいは太陽エネルギー発電だけにして、原子力発電を即時に停止しようにも、金がかかる。
薪で天然ガスを代替しろと、平和党HPに書いたときは、かなり笑われた。これも長期的には
可能であるが、世間一般からは非現実的政治団体としてのレッテルはすでに貼られているので
光栄に思う。
 それから、食糧の完全自給のためには、食糧生産にたずさわる労働力が必要で、そのために
現行の資本主義経済でどうするかということを考えなければならなくなる。
 これらの問題は超長期的にはできるかもしれないが、すぐにはできない………という。
が、しかしこれも常識の呪縛である。

●物理的事実
上の図には、左側に松の木、右側にクヌギの木が描かれている。
松の木は十年で100ユーロになるらしい。
クヌギの木は成長が遅いが価値は高く、百年で1000ユーロ。
どちらの木も一年に10ユーロのコストがかかるとするのなら、
松もクヌギも損益ゼロで白字である。
●資本主義経済の場合
上の図の二段目には「年5パーセントのプラス利子がかかる通貨」とある。
松は、十年後に100ユーロで売れるということは、今その苗はいくらであるかを計算する。
我々が現在採用しているプラス利子の世界で、仮に利子が5パーセントとしよう。
そうすると十年後の100ユーロは、現在61.39ユーロである。
(計算方法は100÷1.05の10乗)
クヌギの場合は、百年後1000ユーロ。現在は7.6ユーロである。
(計算方法は1000÷1.05の100乗)
そうすると、現在61.39ユーロの松は、クヌギよりも価値が高いこととなる。
ということは、この資本主義経済のシステムは、目先のものを回収する事が非常に重要なこととなる。
クヌギのような長期的なスタンスでのぞまないとできないものは、現行のシステムは望まないのである。

●自然主義経済の場合
「年5パーセントの持ち越し費用がかかる場合」、つまり一年に5パーセント価値が減るとする。
松は十年後に100ユーロで売れるわけだから、現在の苗だと167.02ユーロになる。
(計算方法は100×1.05の10乗)
未来よりも現在のお金の方が67.02も高い。
クヌギは百年後に1000ユーロで売れるわけだから、現在の苗だと16万8900ユーロと桁違いになる。
未来よりも現在のお金の方が16万7900ユーロも高い。
資本主義経済の場合だと目先のものにお金を使うが、自然主義経済だと長期的なものにお金が使える。
 よく、「環境と経済の調和」などと無責任に、選挙のときに公約に掲げるものが多いが、
根本的に現在の資本主義、あるいは政府型資本主義である社会主義をやっても、環境と経済は調和しない。
大きな矛盾を抱えているからである。
 税収を増やしても、手数料をとっても、利子がプラスに働いている以上、違う部分でゆがみがでて
くる。
 最後に、「平和党などと独自でやらないで、自民党か民主党の中に入ってやればよい」とはよく言われるが、
このように根本的に土台が違うため、わざわざ政党として作ったのである。
 ちまたに存在するミニ政党は、自民・民主・共産・社民の中の一部の意見を純粋化しているだけのものが多く、
彼らの政治団体としての必要性はない。我欲で党派を作ることは差し控えたほうがよいと思う。
 また、外交問題、国際平和の問題も他党とは全く違う視点からできていることをご理解いただきたい。


Copyright © 2006 平和党
inserted by FC2 system